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PLUS+サイサチ厳選!T細胞関連受託サービス・製品

【祝・2025年ノーベル賞】医学を根底から変えた発見「制御性T細胞」とは?
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2025年10月7日 お役立ち記事 最新トピックス
 

 

【ストックホルム発】2025年10月6日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は、同年のノーベル生理学・医学賞を大阪大学の坂口志文特任教授、米国のメアリー・E・ブランコウ博士、フレッド・ラムズデル博士の3名に授与すると発表しました。受賞理由は、免疫の過剰な働きにブレーキをかける「制御性T細胞」の発見と、その機能に不可欠な遺伝子「Foxp3」の特定という一連の画期的な功績です。この発見は、自己免疫疾患やがん治療に革命をもたらす道を開きました。この受賞をきっかけに、免疫という生命の根幹をなす精緻なシステムの重要性について、さらに多くの人々の理解が深まることを期待します。
改めて、この度の受賞、誠におめでとうございます。

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目次


1. 免疫のブレーキ役:制御性T細胞(Treg)とは?

2. 制御性T細胞の主な働き

3. 発見と研究

4. がんとの複雑な関係

5. 治療への応用

6. サイサチ厳選!受託サービス・製品


1.免疫のブレーキ役:制御性T細胞(Treg)とは?

私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵から身を守る「免疫」というシステムが備わっています。この免疫システムが正常に働くためには、攻撃の「アクセル」と、それを抑える「ブレーキ」の両方が必要不可欠です。今回ご紹介する制御性T細胞(Treg:Regulatory T cell)は、まさにこの免疫のブレーキ役を担う重要な細胞です。 

2.制御性T細胞の主な働き

制御性T細胞は、リンパ球の一種であるT細胞の仲間です。その最大の役割は、免疫細胞が暴走して自分の体を攻撃してしまわないように、免疫応答にブレーキをかけることです。もしこのブレーキがなければ、免疫システムは過剰に反応し、さまざまな問題を引き起こします。
主な働きは以下の通りです。

  1. 自己免疫疾患の抑制
    • 免疫細胞が誤って自分自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気が自己免疫疾患です(例:関節リウマチ、1型糖尿病)。制御性T細胞は、こうした自己への攻撃を抑えることで、自己免疫疾患の発症を防いでいます。
  2. アレルギー反応の抑制
    • 花粉や食物など、本来は無害なものに対して免疫が過剰に反応するのがアレルギーです。制御性T細胞は、この過剰な反応を鎮める働きがあります。
  3. 過剰な免疫応答の防止
    • 細菌やウイルスに感染した際、免疫は強力に働きますが、病原体を排除した後も攻撃が続くと、正常な組織まで傷つけてしまいます。制御性T細胞は、免疫応答を適切なタイミングで終了させ、ダメージを最小限に抑えます。
  4. 妊娠の維持
    • 胎児は母親にとって半分が「異物」ですが、免疫系が攻撃しないのは、子宮に制御性T細胞が集まり、胎児への攻撃を抑えているためと考えられています。 

3.発見と研究

制御性T細胞は、1995年に坂口志文(さかぐち しもん)氏(現大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 特任教授)によって発見されました。この発見は、免疫学における常識を覆す画期的なものであり、自己免疫疾患やアレルギー、がんなど、多くの病気のメカニズム解明と新たな治療法開発への道を切り開きました。

 

4.がんとの複雑な関係

免疫のブレーキ役である制御性T細胞ですが、がんとの関係では厄介な存在になることがあります。がんは、もともと自分の細胞から発生するため、免疫システムが「敵」と認識しにくいという特徴があります。さらに、がん細胞は巧みに制御性T細胞を自分のもとに呼び寄せ、免疫細胞からの攻撃にブレーキをかけさせてしまいます。
このため、がん治療の分野では、制御性T細胞の働きを一時的に弱めることで、免疫細胞ががんを攻撃する力を取り戻させる「がん免疫療法」の研究が活発に進められています。

5.治療への応用

制御性T細胞の機能をコントロールする技術は、さまざまな病気の治療に応用できると期待されています。
自己免疫疾患・アレルギー・臓器移植: 制御性T細胞の働きを強める、あるいは体外で増やした制御性T細胞を体内に戻すことで、過剰な免疫反応を抑える治療法の開発が進んでいます。
がん治療: 前述の通り、がんの周囲で働く制御性T細胞の機能を弱め、免疫のブレーキを外すことで、がんへの攻撃力を高める治療法が研究されています。
このように、制御性T細胞は免疫システムのバランスを保つための司令塔のような存在です。その働きを解明し、自在に操る技術が確立されれば、これまで治療が難しかった多くの病気を克服できる未来が期待されます。


6.サイサチ厳選!受託サービス・製品

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