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サルコペニアとは?
サルコペニアとは?―単なる筋力低下ではない、加齢性筋減弱症候群
「サルコペニア」は、ギリシャ語で「筋肉」を意味する Sarx と、「喪失・減少」を意味する Penia を組み合わせた言葉です。その名の通り、主に加齢が原因で生じる「進行性かつ全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下」を特徴とする症候群を指します。
単なる加齢に伴う自然な衰えと捉えられがちでしたが、現在では転倒・骨折、身体機能低下、さらには心血管疾患や死亡率とも関連する独立した医学的疾患として認識されており、そのメカニズム解明と介入法の開発が急務となっています。
サルコペニアがもたらす影響と研究の重要性
サルコペニアは、高齢者のQOL(Quality of Life)を著しく低下させる要因となります。
転倒・骨折リスクの増大: 歩行能力やバランス能力が低下し、些細なことで転倒しやすくなります。
ADL(日常生活動作)の低下: 立ち上がる、歩く、物を持つといった基本的な動作が困難になります。
要介護状態への移行: 身体機能の低下が進行し、自立した生活が困難になるリスクが高まります。
代謝異常のリスク: 骨格筋は最大の糖取り込み組織であるため、その量が減少するとインスリン抵抗性が増大し、2型糖尿病の発症リスクを高めます。
日本の超高齢社会において、健康寿命の延伸は緊急の課題です。サルコペニアの分子メカニズムを解明し、有効な予防法や治療戦略を開発することは、個人のQOL向上はもちろん、社会全体の活力を維持するためにも極めて重要性の高い研究テーマと言えます。
サルコペニア研究の深化へ
では、なぜ加齢に伴い骨格筋は減少し、その機能が低下するのでしょうか。その背景には、ミトコンドリアの機能不全、タンパク質恒常性の破綻、慢性炎症、筋幹細胞の疲弊といった、様々な分子・細胞レベルでの変化が複雑に絡み合っています。
次のセクションからは、これらの具体的な分子メカニズムに焦点を当て、サルコペニア研究をサポートするおすすめ書籍とソリューションをご紹介します。
おすすめ書籍
実験医学増刊 骨格筋の老化によるサルコペニア その理解と戦略
ー筋生物学を超えた総合知で、運動・栄養・創薬による介入をめざす!ー
おすすめ書籍としてご紹介するのは「実験医学増刊 骨格筋の老化によるサルコペニア その理解と戦略
ー筋生物学を超えた総合知で、運動・栄養・創薬による介入をめざす!ー」になります。
加齢に伴う筋肉量・筋力の低下「サルコペニア」。超高齢社会の現代において、その予防や克服が強く求められています。本書はその介入方法の糸口を探るべく、サルコペニアを疫学的に定義し、骨格筋が萎縮する分子メカニズム、また効果的な運動法や他疾患とのかかわりといった、基礎研究から臨床研究までの幅広い視点での最新研究動向をお届けします。骨格筋老化研究の羅針盤となる一冊です。
引用:目次・内容紹介より(https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/book/9784758104258/index.html)
「実験医学増刊 Vol.43-No.5 骨格筋の老化によるサルコペニア その理解と戦略
筋生物学を超えた総合知で、運動・栄養・創薬による介入をめざす!」購入申し込みフォーム

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研究用関連ソリューション
エムエス機器株式会社「in vivo イメージングシステム Newton 7.0 FT900」

「NEWTON FT900」は、NIR-Ⅱ領域(1000 ~ 1700 nm)のイメージングが可能で、従来困難であった生体深部や微細構造を高精度に可視化できる最先端システムです。
eNUVIO (フナコシ株式会社)「微小骨格筋組織培養デバイス OMEGA MP」
初代培養細胞、iPS細胞由来、株化細胞由来の筋原性前駆細胞から、微小な骨格筋組織を形成し、三次元培養ができるデバイスです。微小筋組織を長期間安定して培養できるため、成熟した微小骨格筋組織の収縮運動が観察できます。
オープントップの構造で、簡単に培地の交換ができ、また筋組織の電気刺激の実験なども可能です。
Myocea (フナコシ株式会社)「Skeletal Muscle Differentiation Kit」
ヒトES/iPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導を行えるキットです。
セルソーティングやトランスフェクションといった操作を行わずに、細胞継代と培地交換だけの簡単な方法で分化誘導できます。ヒトES/iPS細胞から3段階、約26日で筋管細胞までの分化誘導が完了します。